遺留分とは、なんですか

遺留分とは、なんですか

2019/8/8

相続問題でよく聞く言葉に、遺留分という言葉があります。遺留分とは、相続の際に、法定の相続人に対し、相続財産の中で必ず確保されることが認められた割合を意味します。

例えば、亡くなった被相続人(親)が、生前、相続人となる二人の子(兄弟)の一方(兄)にだけ相続させる内容の遺言を作成したとします。この場合、何ももらえなかった一方(弟)には、遺留分が認められ、兄に対し遺留分として相続財産の4分の1が請求できます。

ですが、仮に兄が、親が死亡する前に多額の預金(1200万円)を贈与されていた場合、親の死亡時の預金(800万円)のみで遺留分を計算しては、弟にとって不公平です。

そこで民法は、過去に相続人が贈与された財産も遺留分を考える際に計算にいれることを認めています。

これまでは、20年以上前の贈与も計算に入れていましたが、このような計算は、相続人の地位を不安定としたため、最近の法律改正で、相続開始前10年間に行われた贈与までとなりました。

このように遺留分の計算は、最近の改正もあり難しくなっているので、遺留分の問題がでたら、弁護士等の法律家にご相談ください。

亡くなった親の預金は下ろせますか

2019/7/14

これまでは、例え亡くなった親の子供でも、相続人全員で遺産の分け方等を決定しない限り、亡くなった親の預金を自由に下ろすことはできませんでした。

しかし、今年の7月1日から従来の法律が変更されて、預貯金のうち150万円以下の一定の金額が引き出せるようになりました。

例えば、相続人があなたと弟の2人のみであったところ、亡くなった親の預金口座には600万円があったとします。この場合は、あなたは、預金口座の3分の1の金額の200万円を基準にして、相続人2人で分け合った金額の100万円までならば、自由に預金を引き出すことができるようになりました。

注意点としては、この一定額の預金を引き出して、亡くなった親の医療費や固定資産税を支払う場合です。

多くの方は、亡くなった親のために預金を出して使ったに過ぎないと思われるかもしれませんが、このような場合であっても、預金を引き出した人が、その引き出した遺産を自らの利益のために取得したとみなされ、最終的に取得する遺産が減少する可能性があります。より詳しいことをお聞きしたい場合は、弁護士等の専門家へご相談ください。

遺言で遺産を取得したとき何か手続きが必要ですか

2019/6/13

遺言により、法定の相続分よりも多くの遺産を取得することもありますが、そのような場合では、一定の手続きをしなければ、せっかく得た遺産を失うこともありますので、その対策方法をお伝えします。

例えば、あなたと他の御兄弟が親の遺産を相続した際に、遺言により、あなたの方が多くの土地や建物を取得した場合があるとします。この時、あなたの御兄弟に対して、お金を貸していた人が、あなたの取得した遺産に対しても裁判所を使って差し押さえをしてきたとします。

相続法が改正される前においては、遺言書の内容によっては、特に手続きをしなくても差押えを受けない場合がありましたが、現在は、不動産の場合は、法務局での登記手続を行わなければ、せっかく取得した土地や建物等の遺産を差し押さえられることになります。そのため、遺言により法定の相続分より多くの土地や建物を取得した場合は、速やかな登記手続が不可欠です。

この外、ご両親が他の人にお金を貸していた場合や、高価な宝石等を所有していた場合等も、権利確保の為に必要な手続きがありますので、詳しいことは弁護士等の法律の専門家へご相談ください。

遺言書はどのように作れば良いですか

2019/5/14

遺言書の作成方法は主に3つあり、自分一人で作る自筆証書遺言、公証人に作成してもらう公正証書遺言、内容を他人に知らせないで作成する秘密証書遺言があります。

この中で一番簡単なのが、自筆証書遺言で、遺言書の内容、日付、氏名を全て自ら手書きして押印することで遺言書が作れます。

この遺言は、誰でも簡単に作れますが、以前の民法では、多くの遺産があった場合に、その財産の一つ一つを分けて相続させる場合等には、その財産を全て書き出す必要があり、非常に面倒でした。

しかし、近時民法が改正されたことで、今年の1月13日から財産の一覧を表す財産目録についてはパソコン等により作成することができるようになり、不動産の登記事項証明書や、預貯金通帳のコピー等も利用することもできるようになりました。

このように最近の法律改正で、より遺言書が作りやすくなりましたが、自署していない部分には、そのページごとに署名押印する必要がある等の注意点もあります。

その為、細かく内容を決めて間違いのない遺言を作りたいと考えられる方は、作成前に一度弁護士等の法律の専門家へ相談することをお勧めします。

夫が亡くなった際に、妻は変わらない生活ができるのでしょうか

2019/4/16

夫が亡くなった際、妻の生活を変えない為には、夫の財産が必要です。

例えば夫婦の財産として二千万円の建物と二千万円の預貯金が存在し、これらが夫名義で全て管理されていた場合、夫が亡くなり子との間で遺産争いになれば、遺産分割の結果によって、妻は、建物か預貯金どちらかを選ばなければならない事態になり得ます。

このような事態になれば、いままでの生活を続けることは困難です。このような結論は、これまではやむを得ないとされていましたが、昨年の相続法改正により、配偶者居住権という権利が認められました。

この配偶者居住権とは、配偶者が相続開始時に被相続人が所有する建物に住んでいた場合に、終身または一定期間、その建物を無償で使用することができる権利です。

この権利のポイントは、建物に住み続けても、建物について居住権の価値分だけ相続することが可能で、先ほどの例で、居住権として一千万円、預貯金一千万円を相続するという選択が可能となった点があります。

なお、このような権利は2020年4月1日以降の相続から認められます。更に詳しく知りたい方は弁護士等の専門家にご相談ください。

被災者生活再建支援金だけでは足りません

2019/3/14

これまで大きな災害が発生した際の金銭的支援制度として、被災者生活再建支援金等を紹介しましたが、今回は、その他の支援制度についても紹介します。

まず、災害援護資金貸付という制度では、原則として無利子で、350万円以下の金銭を借りることができます。また、生活福祉資金という制度では、無利子又は低利子で災害による臨時の必要経費として150万円までの金銭を借りられ、また、緊急小口資金として無利子で10万円まで借りることができます。

金銭をもらえる支援制度としては、応急修理があります。この制度は、原則として、災害により住居が半壊以上の被害を受けており、修理した住宅での生活が可能となる場合等に、54万7千円以下の援助を受けて自宅を修理することができます。なお、この制度を利用すると応急仮設住宅を利用できなくなる恐れがあり、また、細かな運用は市町村によって異なる場合もあるのでご注意ください。

今回紹介した制度は代表的なものであり、その他にも各自治体等による細かな支援制度が存在する場合もありますので、詳細は各自治体の窓口や弁護士等の専門家へご相談ください。

 

災害で家族が亡くなった場合、何か支援が受けられますか

2019/2/14

災害救助法が適用されるような災害の場合であれば、遺族に対し災害弔慰金が支給される支援制度があります。この制度は、亡くなった家族が生活維持者であれば500万円を、それ以外の家族であれば250万円を支給するという制度です。支給される遺族の範囲は、配偶者(事実上の離婚の場合は除き、内縁者を含む)、子、父母、孫、祖父母、及び同居又は同一生計の兄弟姉妹となっています。もっとも、市町村によって支給される遺族の範囲や支給金額が増加していることもありますので、各市町村の窓口に問い合わせる必要があります。

また、災害による負傷等の悪化や避難所等における生活の肉体的・精神的疲労等から体調を崩し死亡した場合のように、災害に起因して亡くなったと判断される場合も、災害弔慰金が支給されます。

なお、災害と死亡との間に関連性が認められない場合は、市町村は不支給決定を行います。この場合、不支給決定を受けてから6カ月以内の取消訴訟を提起する対応等をしなければ、災害弔慰金を受給できなくなる可能性があります。そのような場合は早急に弁護士等の専門家へご相談ください。

家が被災したときに、どのような支援が受けられますか

2019/1/15

今回は、前回説明した応急仮設住宅以外の支援制度をお伝えします。

支援制度の中には、一定規模以上の自然災害により家に大きな被害を受けたとき、世帯に対し、最大300万円が支給される被災者生活再建支援金があります。

この制度は、①住宅の被害の程度に応じて50万円から100万円を支給する基礎支援金と②住宅の再建方法に応じて50万円から200万円を支給する加算支援金が受けられるというもので、支援金の使途に制限はありません。また、場合によっては③義捐金がこれらに加算され支給されることもあります。

なお、原則として、基礎支援金は災害発生日から13カ月以内、加算支援金は37カ月以内に申請しなければなりませんので、ご注意ください。

また、被災者生活再建支援金を受けるためには、災害の被害を受けたことを証明する「り災証明書」が必要になります。この「り災証明書」により認められた被害の程度によっては、支援金の額が大きく変わりますので、認められた被害の程度に納得がいかない場合や、くわしい支援制度の説明を聞きたい場合は、市役所や弁護士等の専門家へ相談することをお勧めします。

災害により住む場所がありません。どうすればよいですか

2018/12/14

災害救助法が適用されるような地震、水害や山崩れ等の大きな災害により家を失った場合において、一定の要件を満たせば、無償で応急仮設住宅に住むことができます。応急仮設住宅とは、被災者の一時的な居住の安定を図る目的で行政が供与する仮の住宅です。

応急仮設住宅を利用するための要件としては、①家が全焼、全壊又は流失しており、②居住する家がなく、③被災者の資力で住宅を確保できないことが必要となります。なお、応急仮設住宅は、被災地で住民登録をしていない人も利用できます。

応急仮設住宅は、プレハブ等の簡易な建物が多いのですが、仮設住宅が足らないなどの事情で、民間の賃借物件を仮設住宅として取り扱うこともあります。この民間の賃借物件を利用する場合も、敷金・礼金及び家賃は行政が負担してくれます。

もっとも、応急仮設住宅は、あくまで「応急」のものであり、原則として2年以内しか利用できません。そのため、応急仮設住宅に入居している時から行政等による支援を受けながら、今後の生活再建に備えるべきです。

その他の具体的な支援等については、早い時期から行政や弁護士等にご相談ください。

災害により、家を失いました。どのような支援が受けられますか

2018/11/13

最近は地震、大雨などの災害により、家屋に大きな被害が出ることも珍しくはありません。今回は、そのような事態に遭遇した際に備えて、万が一被災した場合の法的観点からの注意点についてご説明します。

被災者の方は、一定の条件を満たせば、各種支援金、税の減免、融資申請等の援助を受けられます。この際に、被災者の方は、市町村から「り災証明書」を発行してもらう必要があります。り災証明書とは、地震・水害等による家屋被害の程度(全損・大規模半壊・半壊・一部損壊)を証明するものをいいます。そのため、災害により家を失った人は、まずは、り災証明書を取得することが大切です。

そして、支援は、家屋被害の程度により大きな差が生じます。そのため、被災した建物の写真、映像等の証拠を得る前に、家を修繕してしまうと、実際の被害の程度よりも軽い被害しか認められず、その結果、本来、受けられる支援が得られなくなる恐れがあります。

 そのため、災害で家屋に被害が生じた場合は、建物の中だけでなく、建物の周囲まで細かく写真を撮り、ビデオ等の動画で映像に残しておく必要がありますので、ご注意ください。

尾藤法律事務所 岐阜県郡上市八幡町の地域に根づく法律事務所「尾藤法律事務所」です。