他人の借金を保証すると口約束をしました

他人の借金を保証すると口約束をしました

2018/10/6

前回は、口約束であっても契約として有効であることを話しましたが、他人の借金を保証する旨を口約束した場合については、どうなるでしょうか。

民法上、原則として、口約束でも互いの合意があれば契約の成立を認めていますが、一定の契約等については、書面の作成が必要とされています。

他人の借金を保証する契約は、他人が借金を支払えなかった場合に、保証した人が代わりに借金を支払うというものです。このような保証契約は、以前は口約束のみで契約の成立を認めていましたが、安易に保証すると多額の借金を代わりに払うことになりかねない為、軽い気持ちで保証契約が成立することがないよう、法律が変わり保証契約は書面でなされる必要があると定められています。

その為、他人の借金を「保証する。」と口約束をしても、保証契約は成立せず他人の借金を支払う必要はありません。他方で、金銭を貸す場合に、保証人を求める時は、口頭ではなく、書面で契約しなければなりませんので注意が必要です。

仮に保証契約書を作成する際に、どのような文言にするべきか等について不安がある方は、弁護士等の専門家にご相談ください。

口約束だけで契約書がないのですが、大丈夫ですか?

2018/9/10

人から何か物を借りる際に、口約束をして契約書を作らないことはよくある話です。借りた物が食器であれば、あまりトラブルは起きませんが、時には畑を口約束だけで借りている事例も存在しトラブルになることがあります。

口約束であっても有効な契約であり、約束をした者同士でその内容を守らなければなりません。その為、期限までに返す約束があれば、例え口約束でも期限までに返さなければ契約違反となり、損害賠償を請求されます。

契約書とは、約束を文書化したものであり、契約内容を明確にし、後日の紛争に備え、裁判の時には重要な証拠となるものです。契約書を作らない場合のリスクは、契約内容が不明確となり、後日紛争となっても約束の内容を裁判所で証明することが出来ない点にあります。

その為、契約書がなくても、他の証拠などで互いの口約束の内容が確認出来れば、トラブルになっても裁判で勝つことができます。最近はICレコーダー等で録音された内容が裁判で証拠として活用されることも多いです。

ですが、このような録音記録が何時でも存在するとは限らず、紛争を防止する為にも契約書を作ることが重要です。

詐欺の葉書にご用心

2018/8/8

最近、「『訴訟最終告知通達センター』という所から『訴訟最終告知のお知らせ』と書いた葉書をもらったが、どうのようにしたらよいか。」との相談があります。

その葉書の内容を見ると、民事訴訟、訴状、差押え等の言葉が並んでいますが、請求者が誰で、どのような根拠で、いくら請求するかも分からず、「裁判取り下げなどのご相談」として、記載された電話番号に電話するよう誘導する内容となっております。

一般的に、弁護士から請求の相手方に対して、訴訟提起の予告をすることはありますが、その場合は、請求者名や弁護士名、どのような根拠で、いくらを請求するかを明確に記載することが通常で、請求の具体的な内容が記載されていない葉書等は、詐欺の可能性が極めて高いと考えられます。

その為、根拠不明や身に覚えのない内容で訴訟の予告を行う葉書等を受け取ったときは、決して書いてある連絡先に電話せず、一度、警察に相談したり、消費者ホットラインの「188」番に電話して相談してください。

相談の結果、詐欺と判明した場合はそのまま無視しても問題ないですが、不安な時は、弁護士等の専門家に御相談ください。

地震でブロック塀が壊れたら責任を負いますか?

2018/7/11

ブロック塀が、地震で倒壊し人に損害を与えても、自然災害ですから誰も責任を負わないと思われるかもしれません。

しかし、民法には、ブロック塀のような工作物が、何らかの原因で倒れ、人に損害を与えた場合には、土地工作物責任という責任を認め、工作物の所有者等に損害を賠償させることにしています。その為、ブロック塀の所有者は、この土地工作物責任により、地震により倒れた場合でも発生した損害を賠償することになります。

これは一見すると非常に重い責任と思われるかもしれませんが、ブロック塀のような工作物は、一度でも倒れた際には人の生命・身体に対する重大な損害を与える危険があるため、危険な物を所有する者には重い責任が法律で定められているのです。

なお、このような責任は震度7というようなあらゆる建物が壊れるような地震の場合にまで常に生じるものではなく、地震の規模と工作物が作られた時代等から、工作物としての通常の安全性が欠けていたかどうかで責任の有無が判断されます。

ご自身のブロック塀に不安のある方は、地震で人に損害を与えることになる前に早めの対策をしておくことが重要です。

児童虐待とは何ですか

2018/6/14

ニュースを見ていると児童虐待の悲惨な事件を知ることがあります。児童虐待というと児童に対する暴力をイメージする方が多いと思いますが、児童虐待は暴力だけとは限りません。

児童虐待については、「児童虐待の防止等に関する法律」に定義が書かれており、児童に対して暴力を行うような身体的虐待、わいせつな行為をする性的虐待、食事を与えないなどのネグレクト、児童の心に傷を与える心理的虐待の4種類があります。

この内の心理的虐待の具体例としては、児童の面前での配偶者に対する暴力行為があり、仮に児童に対しては直接暴力が振るわれていなかったとしても、夫婦間で暴力行為が行われ、その姿を児童が目撃しているときは、この心理的虐待となります。

このように児童虐待は直接の暴力のみが虐待とされるのではなく、児童の心に深い傷を与えるような行為も虐待とされます。

もし周りに虐待を受けていると思われる児童に気付いた場合や、虐待ではないかと思ったときは、児童虐待の通告・相談の為の専用相談電話である「189」に電話をすれば、児童虐待について専門的な知識を有する児童相談所に匿名で相談できます。

取引先が商品の代金を支払ってくれません(4)

2018/5/14

前回までは、未払代金の請求の方法について紹介させていただきましたが、相手方に裁判を起こし勝訴したとしても、相手方が無一文であれば、現実に支払いを受けることは難しく、場合によっては、相手方が破産をする可能性もあります。

お金を十分に有している人であれば、多くの場合、裁判しなくても代金を支払いますし、逆に支払わない時点でお金がないことを示していると評価できます。

代金の回収で一番重要なことは、相手方が資産を有しているかどうかであり、資産を十分有しない人との間では、商品の受け渡しと同時に代金を受け取ることが何よりも重要です。

ですが、中には長年の取引があるものの最近は支払いが滞りがちという人から、大量の商品の注文を受ける場合があります。この場合、そのまま商品を渡しては、代金が支払われない危険があります。

そのような危険に備える一番の方法は、担保をつけることです。担保の内容としては保証人をつける人的担保と不動産に抵当権をつける等の物的担保というものがあります。

担保契約には様々ありますので、大きな取引の前に担保を考える際は弁護士等の法律家に御相談ください。

取引先が商品の代金を支払ってくれません(3)

2018/4/16

前回は、消滅時効の中断について紹介しましたが、今回は、内容証明郵便を出しても相手が何ら対応しない場合について紹介させていただきます。

このような場合に、強制的な支払いの為に、裁判所に訴えを起こす訴訟という方法が考えられますが、訴訟を行うと裁判所に出向く等の手続が多く、普段裁判に関わりがない人にとっては不便な面があります。

訴訟よりは簡単に裁判所を使って請求したい場合の方法としては、支払督促という方法があります。この支払督促を利用すれば、商品の代金を請求する場合、売主の申立により書類審査のみで裁判所を通じて代金を請求することが出来、最終的には相手の財産の差し押さえが可能となります。この支払督促の申立書は、裁判所のホームページで書式が取得でき、一般の人も比較的容易に利用できます。

ただし、支払督促は、相手が争うと、訴訟に手続きが移行するため、相手が争ってきた場合には訴訟による適切な対応が必要となります。

その為、支払督促を利用したものの相手が争ってきた場合や、そもそも、支払督促を利用するべきか判断に迷うときは、弁護士等の専門家にご相談ください。

取引先が商品の代金を支払ってくれません(2)

2018/3/13

前回は、内容証明郵便を利用して代金を請求することを紹介しましたが、内容証明郵便を何度も出して請求しているだけでは消滅時効の進行を止めることが出来ず、そのまま時間が経ってしまうと代金請求権が消滅してしまうことがあります。

確実に消滅時効の進行を止める方法としては、請求をするだけでなく裁判手続を利用する必要があります。しかし、裁判手続を利用することは一般の人にはなかなか難しいのが現実です。

この場合に消滅時効により代金の請求ができなくなることを防止する簡単な方法としては、取引先に千円などの少額でもよいので、代金の一部を支払ってもらう方法があります。代金の支払がある度に消滅時効の進行は中断し、支払の時から時効の期間が再カウントされ数年間は代金を請求する権利は失われません。

消滅時効が問題となるときは、代金の一部が支払われたかは重要な問題となる為、支払いに関する領収証の控え等を大切に保存することをお勧めします。

もっとも、取引先が代金を一切支払わない場合は、最終的には裁判等を行う必要がありますので、そのような場合は一度弁護士等の専門家にご相談ください。

取引先が商品の代金を支払ってくれません(1)

2018/2/11

商売をしていれば、取引先が代金を支払ってくれるかどうかは重要な問題です。

多くの場合、商品を買った相手方は代金を払ってくれますが、一部の取引先が代金を支払ってくれなくて困ることも発生します。

取引先が代金を支払わない場合は、まずは、代金の請求をすることが重要です。代金請求権があるといっても、何年も請求せず放置すれば消滅時効により請求できなくなることもある為、時効を止めるためにも、請求をすることが重要となります。

この時、単に電話や通常の請求書を送ることで請求の意思を相手に伝える方法もありますが、後の裁判で相手側が「そんな請求は受けた覚えはない。」と惚けて責任逃れをしようとすることは稀に存在します。

そのような事態を防止する一番良い方法は、内容証明郵便という特殊な郵便制度を利用することです。内容証明郵便は、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを郵便局が証明してくれる制度です。

この制度を利用してきちんと相手方に代金請求をすれば、請求があった事について裁判所は事実として認めてくれる為、裁判における重要な証拠になります。

隣の空き地との境界を確認するにはどうしたらいいですか

2018/1/14

  

これまで空き家の対応を説明してきましたが、空き家問題には、土地の境界の問題が生じることがあります。 

土地の境界を考える際に重要なのは、公法上の境界と私法上の境界があることです。 

公法上の境界は、法務局に備えられた登記に従った土地の境界であり、このような境界は土地の所有者でも勝手に決めることは出来ません。 

私法上の境界は、隣地同士の所有権の境、つまり、どこからどこまでが互いの土地かを示す境界であり、多くの場合は公法上の境界と私法上の境界は一致します。 

その為、隣地との境界を確認したい場合は、法務局にある登記や公図を参考に境界線を確認することになりますが、これらの資料だけでは容易に境界が分からない場合もあります。 

そのような場合、法務局の筆界特定制度を利用すれば、法務局の担当者に様々な資料を踏まえ境界線を示してもらうことが出来ます。 

ただし、筆界特定制度が示す線は確定的な境界線ではなく、その後、裁判所における境界確定の訴えにより最終的な境界線が引かれることもあります。 

境界の問題は難しい点もありますので、境界でお悩みの際は弁護士等の法律家に御相談ください。 

尾藤法律事務所 岐阜県郡上市八幡町の地域に根づく法律事務所「尾藤法律事務所」です。