無料の求人広告と聞いたのですが代金を請求されています。

無料の求人広告と聞いたのですが代金を請求されています。

2025/2/20

 最近は、ハローワークに求人を出しても応募者がおらず、人を雇いたいのに雇えず困っている事業者は多いかと思います。そんな時に、とある業者から「数週間は、無料の求人広告が出せますがどうですか?」との営業電話があり、「無料なら。」と思って、その業者のホームページに求人広告を依頼することがあるかと思います。
 ここで注意すべきは、求人広告を出すにあたって提出する申込書に、「期限内に解約申入がない場合は、広告料が発生します。」との文言がある場合です。このような場合、契約した時点では、無料期間後は掲載しないつもりだったのに、解約申入をせずに期間が過ぎてしまうケースがあります。
 このような場合、通常の取引であれば、解約の為の手続を行わなかった側が、契約内容にしたがって広告料を払うことになるのですが、中には、解約をさせないように、「解約のために必要な書類を送る。」と説明しながら、必要書類を送らないといった悪質業者もいます。
 このような悪質業者の場合は、詐欺取消等を主張する余地があることから、一見すると有効そうな契約に思える場合でも、弁護士等の法律家にご相談下さい。

子どもがいませんが、夫が死んだら相続はどうなりますか?

 亡くなった人の財産を、特定の人が引き継ぐことを相続と言いますが、一般的には亡くなった人の子どもと、妻や夫といった配偶者が相続人であると理解している人が多いかと思います。
 相続人が、誰であり、その順位がどうなるかは民法で定められており、第1順位は子、第2順位が父や母といった直系尊属、第3順位が兄弟姉妹とされています。配偶者については、これらの相続人と同順位で、いつでも相続人になります。
 その為、夫婦の間に子がいないときは、亡くなった人の親がいれば、その親と配偶者が相続し、その親や祖父母がいなければ、兄弟姉妹と配偶者が相続人となります。
 気を付けなければならないのが、子がいない二人暮らしの夫婦の場合で、二人の財産が全て一方の名義で管理されている場合です。
 この場合、夫が突然亡くなった際に、妻は、夫名義で管理されていた夫婦の財産を使いたいにもかかわらず、夫の兄弟姉妹との遺産分割をする必要があり、時には、全く交流のない兄弟姉妹との相続争いになります。
 このような事態は、遺言書を作ることで回避することができるので、心配な方は弁護士等の法律家にご相談ください。

交通事故の後、病院にはどの程度通えば良いでしょうか?

2025/1/1

 交通事故によって怪我をした場合、事故当初の予想よりも治療期間が長くなることもあります。病院への通院は、治療の必要性がある限りは続けるものであり、原則は、医師の指導にしたがって通院回数や期間を決めることになります。
 ただし、常に医師の指導どおり通院が出来るとは限らず、中には、仕事の都合等で、通院をあまりしないような場合がありますが、その場合には注意が必要です。
 交通事故では、事故の原因が全面的に相手方にある場合、治療費の全額を相手方が負担しますが、この治療費の支払は、事故との関連性のある治療に限られます。
 この関連性は、事故日から、定期的に通院を続けていれば容易に判断できますが、事故から数ヵ月経っても痛みが引かなくて、ようやく初めて病院に行った場合には、医師からしても、事故が原因なのか、事故から数ヵ月の間の別の原因(仕事上の怪我等)で痛みが発生したかが分からなくなります。
 このような場合、事故を起こした相手方から治療費の支払いを拒絶されることにもなりかねません。その為、事故で怪我をした場合は、医師の指導に従って事故当初からの定期的な通院が重要です。

契約書がPDFデータしかありませんが有効ですか。

 近年はデジタル化が進み、電子データのみのやりとりが当たり前になりつつあります。このような流れの中、従前は契約の際には、契約内容を紙に印字し、互いに署名捺印をして契約書を作ることが当たり前でしたが、電子署名を用いた電子契約を取り入れる企業も増えているようです。
 このような電子署名を用いた電子契約までは導入しないものの、遠方の人との契約を行うにあたり、契約内容をまとめた電子データを送り合い、それぞれで印刷して署名捺印をし、結果的に契約書のPDFデータだけが残るということもあり得るかと思います。
 このような電子データしかない場合に、果たして契約として有効かと疑問に思われるかもしれませんが、そもそも契約書は、契約内容を証明するための証拠というだけで、保証契約などの特定の契約を除き、口約束でも契約は成立しています。
 その為、仮にPDFデータだけであっても多くの契約は有効に成立しています。ただし、電子データの場合、データを後に書き換えるなどの恐れがある為、改変の危険を防止する意味では、電子データだけでなく、紙に直接署名捺印を行った契約書があると安心です。

親の葬式代は誰が負担しますか?

 親が亡くなった際、親族が最初に対応するのは葬式の準備かと思われます。最近は、家族葬を選択する家庭も多いかもしれませんが、葬式代はその葬式の規模によっては大きな出費となります。
 このように少なくない出費となる葬式代について、残された親族同士で意見が対立した場合、その後の遺産分割協議で、葬式代を計算して遺産の分割を行うのかどうかでもめることがあります。
 この点、裁判実務では、葬式代は、亡くなった後に親族等が、業者等と契約をして発生するものであるため、一時的には喪主が負担するものであり、相続財産に関する費用に含めないとの考えが、基本的に取られます。
その結果、遺産分割調停では、葬式代を、相続人同士で相続財産の中に計算に入れるかどうかについて意見が確認され、反対の意見があれば、葬式代を計算に入れないで遺産分割を行い、最終的な葬式代の負担については、その他の裁判手続で争うこととなります。
 葬式代の負担者については、その葬式の内容や契約の経緯等でも判断が分かれるところもあり、実際の裁判でも諸説存在することから、親族同士で争う場合は、弁護士にご相談ください。

身元保証契約にサインしてしまいました。

 身元保証契約とは、労働者が雇用主に損害を与えた場合に、その雇用主に対する労働者の損害賠償の義務を保証する契約のことで、2014年2月号のコラムで説明させていただきました。
 この当時は、身元保証契約は、「保証する側としては、労働者が雇用主に与える損害全てを保証することにもなりかねない非常に重い契約」として紹介しましたが、このような広い範囲の債務を保証する根保証については、民法改正により2020年4月1日以降は、極度額の定めが必要とされています。
「極度額を定める」とは、保証人が、主たる債務者が負う債務をどの額まで保証するかの最大額を決めることであり、例えば、身元保証契約であれば、労働者が発生させた損害を100万円まで保証するのか、1000万円まで保証するかを決めることになります。
 このような事前の定めがあれば、保証する側も最大額を把握して保証することが出来るため、後で予想外の金額を保証することを防ぐ事が出来るようになりました。
 一方で、雇用主は、身元保証の為に極度額を明記することが必要である為、極度額のない契約書を使っている場合は見直しが必要です。

遺産分割は、いつまでにやれば良いですか。

2024/9/1

 遺産分割は、相続財産について、相続人が協議等により誰がどの財産を相続するかを決めることです。この遺産分割が行われない限り、いつまでも亡くなった人(「被相続人」といいます。)の財産は、そのままの名義で存在し続け、被相続人の名義の財産が存在し続ける限り、遺産分割はいつでも行うことができます。
 ただし、ここで注意しなければならないのが、令和5年4月1日から施行された令和3年の民法改正で加わったルールがあることです。
 そのルールとは、被相続人が死亡したときから10年以内に遺産分割の手続を行わないと、被相続人が生きている間に、相続人に渡した財産が、遺産分割で考慮されなくなるというものです。しかも、このルールは、民法改正前の相続も対象であり、被相続人から生前何ももらっていない相続人としては、速やかに遺産分割を行う必要があります。
 なお、このルールは、上記の施行日から5年経過するまでに家庭裁判所に遺産分割請求をすれば適用されないという経過措置がありますので、現在、相続の仕方に争いがあり時間が経っている場合は、速やかに裁判所に遺産分割請求をすることが重要です。

隣の土地から、枝が越境してきて困っています。

 前回は放置された土地について、所有者不明土地管理制度を利用することを紹介しましたが、放置された土地に関する困り事として、隣の土地に生える樹木が成長し、越境してくる枝に迷惑する事があるかと思います。
 隣の土地の樹木から越境する枝がある場合、従来の民法では、その樹木の所有者に対して枝を切るように要求することは出来ましたが、越境された側の土地の所有者が、枝を切ることは出来ませんでした。
 その為、放置された土地の樹木の場合、所有者がどこの誰かが分からない場合や、相続人が存在しない場合には、従来の民法では速やかな対応が困難でした。
 しかし、令和3年の民法改正により、令和5年4月1日以降からは、①枝を切除するよう催告したが、樹木の所有者が相当期間内に切除しないとき、②樹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき、③急迫の事情があるときのいずれかであれば、越境された土地の所有者が、枝を自ら切ることができることとなりました。
 これにより自ら枝を切るなどの対応ができるので、越境した枝に困った際は、適切な手順を経て対応いただければと思います。

隣の土地が、相続人がいなくて放置されています。

 これまで相続登記の義務化について紹介しましたが、相続が発生した際に誰もが相続するとは限りません。中には不動産の管理を拒否して相続放棄をする人もいらっしゃいます。
このような相続放棄の結果、相続人のいない放置された土地が発生し、残された土地には草木が生い茂り、近隣の住人が困ってしまう事態が発生することがあります。
 また、放置された土地について、近隣の住人としては、土地を手に入れて駐車場にしたいと考えたとしても、相続人がいない為に、そのままでは土地を買うことも出来ません。
 このように問題が生じてしまう放置された土地に対しては、これまでは相続財産管理人を選任して不動産の管理を行うという対応方法もありましたが、これに加え、令和5年4月1日から、所有者不明土地管理制度が始まっています
 この所有者不明土地管理制度は、民間の購入希望者であっても土地の購入計画に具体性がある等の一定の事由が備われば、制度の申立が認められ得るとされており、これまでよりも放置された土地に対する対応の選択肢が広がっています。
 このような土地にお困りの際は、弁護士等の法律家にご相談下さい。

登記手続を弁護士に依頼することは出来ますか。

 前回、相続登記の義務化について御紹介しました。このような関係で最近お問い合わせを受ける質問に、「弁護士に登記手続の依頼をすることは出来ますか。」というものがあります。
 弁護士は、法律の専門家として登記手続も含め法律事務全般を代理することが可能であり、ご依頼があれば登記手続にも対応することが出来ます。
 ただ、登記手続を中心的な業務として行っているのは司法書士の先生方であり、弁護士は登記手続を行わず、司法書士の先生方に登記手続をお任せすることが多いと思われます。当事務所でも、登記手続のみの依頼については司法書士の先生方を御紹介させていただいています。
 このように登記手続だけであれば、司法書士に依頼することが出来ますが、登記に関して遺産分割争いが生じ、裁判所での調停手続が必要な場合は、司法書士では代理人としては活動できないことから、弁護士が対応することとなります。
 その為、登記に関する問題といっても、特に紛争がない場合は、司法書士に相談いただき、何かしらの争いがある場合は、弁護士に相談する等、状況に応じて相談先を使い分けていただけるとよいと思われます。

尾藤法律事務所 岐阜県郡上市八幡町の地域に根づく法律事務所「尾藤法律事務所」です。