2023/12/31
相続財産については、遺言書が存在しない限り、相続人全員による遺産分割協議を行わなければ相続財産を分割することができません。この時、相続人の内の一人が認知症で、全く意思疎通ができない場合は、その者と協議をすることが出来ず、遺産分割を行えないままとなってしまいます。
このような場合、成年後見制度を利用することで遺産分割を行うことができ、成年後見制度を利用するためには、家庭裁判所に申立てを行うことが必要です。
ちなみに、成年後見制度は、認知症などにより意思疎通が出来なくなった人を保護する制度であり、遺産分割に限らず、身の回りの契約等の必要な手続の為にも制度を活用することが重要です。
また、成年後見人は、判断能力を失った人の財産を守るのが仕事であり、遺産分割を行いたいという他の相続人の為に活動することが求められるわけではありません。
その為、遺産分割の為に成年後見制度を利用する場合、弁護士等の専門職の後見人が選任されやすく、成年後見人は、他の相続人の意向のみに従って遺産分割するものではない事は、成年後見制度を利用するにあたって理解しておくことが重要です。