車の修理費用は全額請求できますか
2014/9/15
車による交通事故の損害賠償請求で常に考えることとなるのは車の修理費です。車が修理可能な場合は、相当な修理についての修理費用は全て請求できますが、修理費用が車両の時価等を超えている場合は、車両の時価等の額までしか支払われません。
簡単に説明すれば、買った当時は300万円した車の時価が、長年使用している間に中古車市場では50万円程度に下がっている場合、修理費用として100万円が必要でも50万円しか請求できないということになります。
このことを経済的全損と言いますが、実際の裁判では前記の例のように単純ではなく、中古車の一般的な市場価格以外の要素も考慮事情に含めて判断しますので、相手方が経済的全損を主張し始めた際には、その主張が正しいかどうかの検討が必要です。
車の損傷が激しく修理不可能な場合は、事故時の車両と同等の車の買換に必要な費用が中古車市場の価格を基準に損害として請求できます。
車の修理費に関しては、この他、事故歴などにより売却価格の値下がりがある場合の評価損の問題等もありますが、相手方と揉めたときは一度弁護士などに相談することをお勧めします。
事故態様に争いがあるときはどうしたら良いですか
2014/8/7
前回に続き、交通事故の損害賠償請求に関する内容を紹介させていただきます。
交通事故が発生した際、どちらの車に責任があるかで揉めるケースは多々あり、特に目撃者がいない事故の時は、事故状況を知るのは当事者しかいないために、言い分が異なると事故態様が不明確になります。
そのような時に、互いの説明を裏付ける証拠となるのが、事故直後に警察が事故状況を調査し作成する交通事故証明書や実況見分調書、物件事故報告書などの資料です。
交通事故証明書は、交通事故が存在したことを証明する資料であり、保険金請求などの際に必要となる書面ですが、通常、事故状況を確認した警察官が責任を重いと判断した者を甲欄に記載するため、事故態様を確認する上で参考となります。
より詳細に事故状況を把握するには、実況見分調書などの刑事記録が重要となります。
人身事故の場合、実況見聞調書が作られるため、検察庁に問い合わせるなどして資料を手に入れることができます。また物損事故の場合は物件事故報告書が作成されていますが、弁護士や裁判所を通じてであれば資料を取得できます。
これらの資料を取得して車の接触状況や現場状況を確認すれば事故態様をある程度確認することができます。
弁護士には、どんなことを頼めますか?
2014/7/22
郡上市の皆様に役立つ法律知識を紹介するため、法律相談コラムを始めることに致しました。最初の質問は、知られているようで意外と知られていない「弁護士」とは何をして、どんなことを頼めるのかについてお答えします。
弁護士の仕事としては、よく犯罪者を守るための弁護活動(これを「刑事事件」と言います)がイメージされ、悪いことをしてしまった時に依頼する職業と思われがちですが、そのような活動は全体の1割ほどです。
弁護士の業務の中心は、それ以外の民事事件や家事事件に関する活動です。具体的には、お金を貸した相手がお金を払ってくれない時、離婚したいけど相手が応じてくれいない時、相続財産があって親族同士で揉めている時など、様々な揉め事において弁護士が一方の代理人として本人に代わって相手方と交渉したり、裁判を起こしたりして、依頼者の要求を実現する活動のことです。
紛争の内容は、法律に関することであれば種類を問いません。また、裁判における代理業務以外にも、法律相談や、契約書の作成等により、紛争に至る前の紛争予防のための業務も行っています。
弁護士に頼める内容は多岐にわたり、相談内容よって、依頼する内容も異なりますから、法律のことで迷ったらまずはお気軽に相談していただくことが重要です。
裁判は、どこでやることになりますか?
今回は、郡上市の皆様が裁判を起こす時に、どこの裁判所を利用することになるのかを紹介します。
裁判といっても様々な種類があり、事件や利用する裁判所は異なります。岐阜県内の裁判所は7カ所存在し、郡上市の裁判所は八幡町殿町にあります。
郡上市内の問題については、八幡町の裁判所を利用することになりますが、残念ながら扱える事件が限られています。こちらを利用する時は話し合いを基本とする調停事件がほとんどで多くの人がイメージする訴訟となると、岐阜市美江寺町の裁判所で行うことが多くなります。
その為、話し合いでは解決がつかず「裁判で決着をつけてやる!」という場合、岐阜市まで行って裁判を起こすこととなり、郡上市の人が直接裁判に参加するとなれば、移動だけでも一苦労です。
弁護士を利用するメリットの一つとしては、訴訟等の為にこのような遠くの裁判所を利用せざるを得ないときに、代理人として代わりに弁護士に参加してもらうことがあります。
岐阜県内の弁護士がどこにいるかは、インターネットで「弁護士検索」と検索すれば日本弁護士連合会の弁護士情報検索サイトが見つかりますので、そちらで調べることができます。
加害者の保険会社が提案する金額は妥当ですか
2014/7/15
前回に続き、交通事故の損害賠償請求に関する内容を紹介させていただきます。
交通事故が発生した際、多くの場合、自動車の運転手は自動車保険に加入している為、加害者側の保険会社が事故を起こした当事者に代わって損害賠償を行うのが実情です。
自動車事故で紛争となるケースは、この保険会社の支払が十分でないと感じるときであり、法律の知識がないと最終的に金額が妥当かどうかも不明瞭となり、なかなか話し合いによる示談がまとまらない場合もあります。
自動車事故の場合これまで数多くの事例の集積と裁判基準が確立されていることにより、損害賠償の額の計算が可能となっているため、問題となる自動車事故においてどのぐらいの金額が請求できるかは計算可能です。
その為、相手方の保険会社から最終的な支払金額の提案がなされた時は、請求する側も妥当な金額かどうかは一度検討しておくことは重要であり、特に裁判によらず示談で解決する場合は、相手方の保険会社が裁判基準より低額となる金額を提案することが多いので注意が必要です。
相手方が提案する金額が妥当かどうか心配なときは、示談の前に弁護士等に御相談の上、事案に見合った金額を見積もってもらうことが重要です。
私は、専業主婦ですが、休業損害は請求できますか
2014/6/15
前回に続き、交通事故の損害賠償請求に関する内容を紹介させていただきます。
交通事故によりケガをした被害者が、加害者に請求できる損害として休業損害があります。休業損害とは、ケガにより休業したことによって収入が減った分の損害ですから、専業主婦の為、働いて給与を得ていない場合には請求できないとも思われます。
しかし、賃金を得ていなくても、主婦は家族の為に炊事洗濯等の家事労働を行っているのであり、これを第三者に依頼した場合には相当の対価が必要です。その為、専業主婦は、家事労働に従事することで財産上の利益を挙げていると考えられ、ケガにより家事労働ができなくなった場合には、その分の休業損害を請求できます。なお、これは男性の専業主夫であっても同様です。
ですから、専業主婦の方がケガをした場合、事故当時の年の平均賃金を基礎として休業損害を請求しますが、その金額は平成24年では一日あたり約9700円程度です。
また、このような休業損害は、休業の程度に応じて請求するため、ケガにより全く動けない間は100%の金額が請求でき、その後、治療の結果、家事が出来るようになった程度に応じて、80%、50%と段階的に請求金額が減ることとなります。
交通事故でケガをした場合、相手にどんな損害を請求できますか
2014/5/14
前回に続き、身近な法律問題として交通事故に関する内容を紹介させていただきます。
交通事故によりケガを負った被害者が、加害者に対して請求できる損害の内容としては、治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料が主なものとなります。
治療費は、ケガをしてその治療のために病院で掛かった費用ですが、多くは加害者の保険会社から直接病院に費用が支払われることが多い損害です。
次に、通院交通費は、自宅から病院へ通う際に掛かる交通費のことですが、バスや電車といった公共の交通機関を利用すればその往復の費用、自家用車で通ったのであればガソリン代等の費用がこれにあたります。
休業損害とは、ケガをした結果休業したことによって収入が減った分の損害であり、給与取得者であれば、事故前3ヶ月分の平均給与等を参考に算出され、事業者であれば前年度の所得等を参考に計算します。
慰謝料は、前回紹介した入院や通院の期間を参考に計算される精神的損害です。
なお、上記損害は主だったものであり、事故によるケガの内容によって請求できる損害は変わります(例えば、介護のための自宅改造費や親族の付添費等)。請求ができるかどうか疑問があるときは、一度弁護士などに御相談することをお勧めします。
交通事故で請求できる慰謝料はいくらぐらい
2014/4/15
今回からは、身近な法律問題として交通事故に関する内容を紹介させていただきます。
車を運転する人であれば、注意しても交通事故に遭遇してしまうことがあります。この時、加害者側がきちんと保険に加入していれば、被害弁償は十分になされますが、その際、慰謝料としてはどの程度が妥当かと相談があります。
慰謝料とは、精神的損害に対する賠償を意味しており、ケガや死亡の場合には当然請求することが認められていますが、単に車が壊れただけの場合は原則慰謝料は請求できません。物の場合は、修理費等が払われることで精神的損害は回復されると考えられる為です。
ケガや死亡の場合の慰謝料については、精神的損害の問題であることから、本来であれば人によって大きく変わることになるものと思われますが、交通事故においては、裁判における目安があり、ケガの場合通院入院期間の長短や後遺症の有無で算定がされ、「入院3ヶ月」の場合で145万円、「入院3ヶ月、通院3ヶ月」の場合で188万円とされています。更に死亡の場合は2000万円から3000万円といった目安が存在します。
加害者側の提案する示談金額に納得いかないときは、一度弁護士に相談し、基準を確認されることをお勧めします。
友達に名前を貸しても大丈夫ですか
2014/3/15
前回に続き新年度に関する法律問題として、新生活でのトラブルとならぬよう気をつけて欲しいことを紹介させていただきます。
新年度は進学や就職で、それまでとは違った人間関係が始まり、新しい友達や恋人ができることがあると思いますし、出会いに期待されている方も多いと思います。
新しい出会いは楽しく人生を豊かにするものではありますが、時にはその期待を裏切るような出会いもあり得ます。
紛争に巻き込まれる方の一つの例としては、このような新しい人間関係の中で人に騙されトラブルに巻き込まれてしまった方がいらっしゃいます。
最初はとても親切でやさしく接してくれた人から、ある日、「迷惑を掛けないから、名前を貸してくれ。」「免許証や住民票などの身分証明書を貸してくれ。」と頼まれ、断るに断れず一度だけと思って貸したところ、数ヶ月後、知らないところから数十万円、数百万円を請求されたというのが典型例です。
このような場合、責任が無くとも裁判に巻き込まれることがありますし、きちんとした対応をしないと責任が認められることもあり得ます。
「名前を貸してくれ。」と頼む人は、本当の友人や恋人ではなく、単に利用しようとして近付いているだけの場合もありますので、優しい言葉に騙されないように注意してください。
法律家の立場から地域経済の発展に貢献 弁護士 尾藤 望さん
2014/2/13
東京の大学へ進学し、司法試験合格後の司法研修でお世話になった先生の事務所で三年半の勤務。その後、帰郷し郡上で法律事務所を開設した尾藤望弁護士。郡上八幡の事務所開設から四月で三年を迎える。三年を振り返り弁護士が感じるのは、相談者の多くは、問題が深刻になってから事務所を訪れる場合が多いということ。泣き寝入りをしている人も多いのではないかと感じる時も多々あるそうだ。「弁護士に相談する最初のタイミングは、行動をおこす前に予備知識を得たい時でしょうかね。例えば、離婚を考えているので、事前に知識を得たいといったふうに。企業で発生するトラブルも同じです。取引、契約、雇用における事柄を法的観点から予め確認することで問題発生を事前に防ぐことができます。ただし、弁護士への相談は、三〇分で五二五〇円の費用がかかります。個人の場合は特に、行政などで紹介されている無料相談会などを利用するのも有効です」と話す。
地域活動にも精力を傾ける尾藤弁護士。法律的な思考を教える法教育を高校や中学校で行う。昨年の一〇月には、郡上高校で三日間にわたり、岐阜県弁護士会の法教育委員会に所属する三人の弁護士とともに法教育の授業を行った。「法律専門家ではない一般の人々が、法や司法制度、これらの基礎になっている価値を理解し、法的なものの考え方を身につけてほしいと思います」。今後、学校から依頼があれば快く応じたいと熱意を見せる。
活躍は、法律の場だけにとどまらない。郡上市行政改革推進審議会の委員として第二次行政改革大綱を審議。郡上八幡産業振興公社の評議員として運営に関与。NPO法人郡上八幡水の学校にも理事として関わり、大学教授らとともに郡上八幡の水文化を次世代につなげる教育や環境保全、観光の推進活動等に取り組む。さらに、商工会議所の相談員も行うなど、若さ溢れるフレキシブルな動きで、地域に溶け込む。
「私のような年齢で、さまざまな活動に関わらせていただけるのは非常にありがたいことだと思っています。いい勉強の場をいただいています。物事は法律だけでは解決しません。地域を知り、人の関わりを深めることで総合的な対応ができると考えています。地域や地元企業を盛り上げるために、法律家として貢献したいと思っています。法律家は遠い存在ではないので、気軽に相談を」と笑った。
尾藤法律事務所
0575-67-9107
郡上市八幡町城南町218-1
9:30~17:30 土曜・日曜・祝日休
身元保証契約とはどのようなものでしょうか
今回はもうすぐ新年度ということで、就職にあたってよく求められる身元保証契約を御紹介致します。
身元保証契約とは、労働者が雇用主に損害を与えた場合に、その雇用主に対する労働者の損害賠償の義務を保証する契約です。
新しく就職するにあたっては雇用主から労働者に対して採用前に「身元保証契約」という書面に第三者から署名をもらうように求め、労働者の親族等が署名することが多々あります。
これは雇用主としては、雇う人が信用のおける人かどうかハッキリしない段階で、身元保証人がいれば、仮に採用後に労働者の過失により交通事故を起こされたり、又は、労働者にお金を横領されたりした場合などには、身元保証人にその責任を追及することが出来る為安心して雇うことが出来ます。
その為、身元保証契約は、雇用主の側とすれば採用する人が信頼できるかどうかの指標となる契約であり、一方で、保証する側としては、労働者が雇用主に与える損害全てを保証することにもなりかねない非常に重い契約であり慎重に判断すべき契約になります。
なお、身元保証契約は、その内容の重さから「身元保証に関する法律」により原則3年間との期間が定められる等しておりますので、一生涯の保証ということになるものでもありません。