2013/5/15
前回に続き、「相続」をテーマとした基本的な法律知識を御紹介致します。
前回は遺言が見つかったときの手続を御紹介しましたが、遺言の内容に従った財産の処分がなされるかどうかは、実際のところ残された遺族に委ねられることが多く、中には遺言書を先に見つけた遺族の一人が、勝手に破って捨ててしまうなんてこともあります。
このような遺言書の破棄という行為は、破棄した者が相続人となる権利を失う行為であり絶対に行ってはならない行為ですが、そのような行為を実際に防ぐには遺言書を書いた本人では不可能であり、第三者に任せるしかありません。
その為、遺言書を作成した際には、信頼できる親族、知り合いまたは法律家に遺言書の存在を事前に知らせ、もしもの時は遺言書の内容を実現してもらうよう依頼しておくことが重要となります。この際、遺言書の内容として、遺言書を預ける相手を遺言執行者と定めておけば、保管だけでなくその者が遺言内容を実現することが出来ます。
なお、公正証書遺言の場合、作成した公証人役場において公正証書遺言の原本は保管されており、万が一他の相続人によって手元の公正証書遺言が破棄されても、公証人役場に申請すれば謄本を取得することが出来ます。